乳房を人為的に増大させる豊胸治療は理想のボディラインを手軽に実現できる方法として広く普及しています。豊胸に用いる素材の質が向上した他、治療の技術が進歩したことにより、現在では本物の乳房とほとんど変わらない仕上がりになるのが普通です。
その一方で治療後に乳房の形が悪くなるトラブルも起きている事実もあるのです。豊かで形が整っている乳房を保つためにも、豊胸治療の詳細について学びましょう。
初期の豊胸手術の特徴と問題点
豊胸治療は胸部に人工物を入れて乳房を形成する審美治療の一種です。初期の豊胸治療は医療用のシリコンを胸部に直接注入する方法でしたが、この方法はシリコンが体内で石のように固くなってしまう欠点がありました。また、医療用であっても遺物であるシリコンが剥き出しの状態で体内に留まっているため、体が拒絶反応を起こしてしまうことも問題視されたのです。
注入式の豊胸治療による健康被害が続発し、そのために豊胸治療そのものが一時的に廃れてしまったこともあります。後にシリコンを封入したパックを使って乳房を形成する外科手術が確立したことによって、再び豊胸治療が広く普及するようになったのです。
封入パックを胸部に入れる豊胸治療が支持されたのはシリコンの弾力性が半永久的に保たれるのが大きな理由です。パックに封入することで体内での変質が起こらず、シリコンの柔らかさと弾力性が保持されるのです。また、パックに入れることでシリコンが直接触れることが無くなり、重大な健康被害に見舞われるリスクが大幅に軽減されたのも受け入れられた理由のひとつです。
しかし、注入式の欠点が改善されたとはいえ異物を体に入れる行為そのものは変わっていないため、個人の体質によっては痛みや炎症などの不具合に見舞われることがありました。また、シリコンの弾力性は本物の乳房とは異なるので、実際に触るとその違いが明らかでした。
そのため、豊胸治療を行ったことを他人に知られたくない人には決して最善の方法ではなかったのです。
治療方法の進歩と体への影響について
豊胸と言えばシリコンというイメージが定着しているほど、豊胸治療とシリコンは密接に繋がっていたのは事実です。シリコンは安価で購入できるうえに扱いが容易であり、パックに封入すれば弾力性が半永久的に保たれることから非常に便利な素材として扱われていました。
しかし、シリコンの弾力性は本物の乳房とは異なるので、従来の豊胸手術に対する不満の声が次第に増えてきたのです。そのため、美容整形の業界では新しい素材を開発する必要に迫られました。そのような中で注目されたのが、豊胸治療を受ける患者本人の脂肪を胸部に移植して乳房を作る方法です。
シリコンには無いリアルな質感を再現できる他、拒絶反応も起きないことから豊胸治療に最適な素材として高く評価されました。その一方で脂肪を移植する豊胸治療は乳房の形を綺麗に保つのが難しい欠点があります。脂肪は弾力性がありますが形が崩れやすく、移植して数年も経たないのに乳房が垂れてしまうこともあります。
シリコンは人工物であるが故に新陳代謝の影響を受けることはありません。そのため、体調不良や体質の変化などの理由で形が崩れないのが利点なのです。しかし、患者本人の脂肪を移植するとその脂肪は胸部と一体化することから、新陳代謝や加齢による細胞の老化に影響されてしまいます。
そのため、質感は本物の乳房そのままですが、細胞が衰えて状態が悪くなるデメリットも生じてしまうのです。また、移植用の脂肪を切除した部分が凹んでしまい、ボディラインが不格好になる点も注意しなければいけません。
脂肪の移植による豊胸治療で形を保つための工夫
患者本人の脂肪を移植して乳房を作る豊胸治療はリアルな質感に仕上がる反面、形が崩れたりシワができるなどの衰えが生じる欠点もあります。細胞の老化を当たり前の現象と受け止めることも大切ですが、それでも豊胸治療を行ってまで綺麗に整えた乳房を不格好にはしたくないと考えるのは決して悪いことではありません。
シリコンは人工物なので年齢による衰えとは無関係に、その形状を半永久的に保つことができます。生きている細胞で形成されている脂肪は老化を免れることはできませんが、衰えを遅らせることは可能です。乳房の形と張りを保つ方法として普及しているのがボトックス治療の応用です。
本来は美肌維持を目的とするボトックス治療を乳房の形状維持のために行うことで、若々しい状態を保つことが可能になります。ボトックス治療は筋肉や表皮の細胞をマヒさせる効果のある薬剤を注入することでその部分の新陳代謝を遅らせる方法です。
肌のシワや筋肉の衰えは細胞の新陳代謝によって起こる劣化です。本来はすぐに新しい細胞が作られるので目に見えるほどの劣化は起きませんが、加齢によって細胞が作られる頻度が低下します。その一方で新陳代謝による劣化のスピードはほとんど変化が無いので、結果として劣化が目立ってしまうのです。
ボトックス治療は細胞のマヒによって新陳代謝を人為的に遅らせ、シワなどの劣化が進むのを防ぐ効果があります。乳房にボトックス治療を行うことにより、形が崩れて垂れ下がったりシワができるのを防ぐことができるのです。
細胞の衰えを遅らせる効果があるボトックス治療ですが、あくまでも細胞を一時的にマヒさせるだけです。薬剤の効果は日数が経つと無くなってしまうので、張りや艶を保つには定期的に治療を受ける必要があります。また、すでに老化が進んだ細胞を若返らせる効果も無いので、乳房の形が崩れる前に治療を受けないと意味がありません。
ボトックス治療は豊胸治療と同様に医療保険の適用外なので、費用の全額を患者が負担することになります。
豊胸治療を安全に受けるための病院選び
美容整形を手掛けている病院の多くが豊胸治療を行っていますが、同じ治療でも医師によって仕上がりの良し悪しは大きく違います。また、治療後のケアも重要ですが、利益を優先するあまりケアを疎かにしている医師が存在しているのも事実です。
豊胸治療などの審美治療は病院側が金額を自由に設定できるので、初診料だけを安く設定し、それ以外の治療費などを高額にする悪質な所も稀に存在します。初診料の金額や病院の知名度だけで安易に即決せず、豊胸治療に関する説明をよく聞いたうえで慎重に判断するのが満足できる結果を得る条件なのです。
複数の病院の比較や口コミを確認するのも方法のひとつ
病院の良し悪しが豊胸治療の結果を大きく左右するので慎重に選ぶ必要がありますが、どの病院が良いのかを判断するのは決して簡単ではありません。複数の病院を豊胸治療の費用や所要日数、アフターケアなどの項目別に比較し、最も信頼できる所を選ぶのが良い結果に繋がります。
また、実際に病院を利用した人による口コミを参考にする方法もありますが、中には虚偽の内容も混ざっていることがあるので鵜呑みにはせず、参考意見として聞くに留めるのが無難です。